背割り栓柱 テクノV 開発コンセプト

 今日の木造軸組工法における柱材の樹種別使用割合を見ると国産の杉、桧柱材はその使用割合が10年前合わせて7割程度であったものが5割を切る状況にあり、代わって集成材の割合が杉、桧材を追い抜く状況になって来ている。 その原因として考えられることが杉、桧柱材、特にその多くを占める芯持ち柱材に次のような欠点があるからと考えられる。

杉、桧芯持ち材の欠点

  1. グリーン材では、施工後の収縮、曲がり、カビの発生、等
  2. 自然乾燥材では外部の干割れの発生
  3. 上記 1. 2. を防止する策として、蒸気式乾燥機による高温乾燥が行われるが、内部割れ、変色が問題となる。
  4. また芯持ち材全般において、芯材中心部の含水率の低下が困難でそのため時間と熱源費がかかる乾燥となってしまう。
  5. 上記の欠点を軽減する為に背割りを施して乾燥を行うが、乾燥が不十分な場合、施工後背割り溝が開きクロス切れなどの原因となる。そのため十分な乾燥の後、再製材による修正挽きが必要である。
  6. 柱材の市場を取り巻く状況として、近年、金結方式のプレカットが急増してきているが、支口加工部に背割り溝や、割れの発生があると安定した強度が得られない。

しかしながら天然無垢の柱材にも集成材と比べ次のような利点が有る。

杉、桧芯持ち材の利点

  1. 日本の伝統的木造建築において、特に和室の装飾としての役柱は古来より木の美しさを生かし、木造建築には欠かせない価値がある。
  2. 製造過程が簡単で小規模な製材施設でも生産できる。
  3. 接着剤や電力の消費が少なく省エネルギーで、環境に負荷がかからない。
  4. 社会的意義として国産材需要の安定維持につながり適切な木材伐採を継続することにより森林の保護育成、国土の保全、Co2削減に貢献している。

 そこで上記の利点を生かし、かつ欠点を軽減する方法を考えてみた。
 その概要を述べると次のようになる。

 欠点の5.を芯持ち材に背割りを施した後、芯部までの十分な乾燥(背割りが最大に開ききるまでの乾燥)により克服し、さらに、背割り部を角度、形状を一定としたV字型に整形加工し、そこへ背割り栓(V型栓)を接着剤を塗布し埋め込み圧力を加え接着する。 これにより強度を増し、かつ外部割れ、内部割れが無く、また背割り溝が完全に埋め込まれた状態(欠点の1. 2. 3. 4. 6. を克服した状態)で仕上げ製材(プレナーがけ)を行い完成させる。

 以上のようなコンセプトの下に無垢材の良さと集成材の良さを併せ持った柱材(背割り栓柱)を開発するのである。

INFORMATION

2011-11-20
サイトをオープンしました。
2011-9-11
強度試験でテクノVの強さが立証されました。
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